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書評:「世界史の針が巻き戻るとき」マルクス・ガブリエル著

こんにちは。ジューク(@19sblog)です。
本日は史上最年少の29歳で、200年以上の伝統を誇るボン大学の正教授に就任したというマルクス・ガブリエルさんの「世界史の針が巻き戻るとき」について書評します。PHP新書らしい一冊といいますか何といいますか知的好奇心がビンビンと刺激される内容でした。著者は新進気鋭の哲学者ということですがどんな内容だったのでしょうか?

概要

はじめに
第1章 世界史の針が巻き戻るとき
第2章 なぜ今、新しい実在論なのか
第3章 価値の危機
第4章 民主主義の危機
第5章 資本主義の危機
第6章 テクノロジーの危機
第7章 表象の危機
補講   新しい実在論が我々にもたらすもの

世界史の針が巻き戻るとき

本との出会いって何か運命的なタイミングで出会うことがあって本書もまさに今のタイミングで読めて良かったなと思う一冊でした。

世間では新型コロナウイルスの問題で大騒ぎですが、こうした世の中がフワフワした時こそ本質的な生きる意味であったり、今生きているこの時代に関して考えることってとても必要なことだと思います

タイトルにもある「世界史の針」は具体的には古き良き19世紀に回帰しているというのが本書における大きな主張です。つまりヨーロッパが最盛期だった時代ですね。言い換えるとアメリカ支配へのアンチテーゼが全編を通じて貫かれているというのは間違いないです。この辺り著者がドイツ人だというのが大きいかなと思います。その点はどうしても我々日本人のスタンスとは違って見えるわけですが、そうした違いそのものを理解できることがとても楽しい。

昔、若い頃は「俺らの時代はこんなだった」と武勇伝を語るおじ様達に白い眼を向けていましたが、いざ自分がそのおじ様達と同年代になった時に同じことをやってしまいがちです。「昔はよかった」病ね。
☟ちなみにこの本とても面白いです

なのでそんな自分を戒めるためにも僕は意識して「今が一番最高!」といっています。Google、Amazon、Facebookのない生活は考えられませんもん。ちなみに所謂GAFAのAppleのみ入っていませんが、長年のiPhoneユーザーでしたが今はandroidを使っています。

本書では勿論、そんな皮相のお話ではなくもっと大きなくくりの中でお話は進んでいきますのでご安心ください。

価値の危機

次に気になったのは第3章の価値の危機です。
本書で語られているエピソードで著者はビジャブ(ムスリムの女性が頭を覆うためにかぶるスカーフ)の着用を例に挙げ、それをどう規制するかの話を通して以下の通り論じています。

現実には、解決策ではなく特定のグループの人たちから人間性を奪う可能性についてばかり取り沙汰されています。

本書P77より

これってその通りですよね。根本的な解決策の代わりにこうしたことが取り沙汰されているのは本当に事実であると思います。今回の新型コロナ騒動で思い出していましたが、地下鉄サリン事件の時に東京にいたのでこうしたことは至るところで起こっていました。東日本大震災の時もそう。あの時の東電叩きの異常さは記憶に残っている人も多いのでは?そして今回の新型コロナ騒動。こうしたアクションが起こらないことを切に願います。そして、本来人間というのはそういう素地をもっているというのは理解しておいた方が良いですね。

テクノロジーの危機

この章は特に「人工知能って怖い~」と根拠なく思われている方に是非読んで貰いたい章です。短い章ですが人工知能の本質ってこういうものなのじゃないかな?というヒントが貰えるのではないかと思います。また、この章で印象的だったのは以下のフレーズ。

インターネットの本質は月並み、これに尽きます。

本書P172より

僕は本来インターネット肯定派ですが、この文章は刺さりましたね。例えば口コミ投稿なんかをとってもそこには「そういう口コミが好きである。または口コミをするのが苦でない」というバイアスがかかっており、そうしたことを理解した上で利用する必要があるなぁと思った次第です。

まとめ

本書を理解するには哲学の素養やある程度の用語について知っておかないと理解できない部分があるのも事実ですが、インタビュアーの力量か非常に理解しやすい内容となっています。

我々は自分の住んでいる地域やコミュニティの影響をどうしても受けてしまいます。僕自身が今の暮らしている地域ではアウトサイダーでずっとここに住んでいる人たちとはどうしても違っている部分が目についてくることも多数あります。逆に、東京にずっと住んでいた時は東京というある意味異常な都市に暮らしていることを普通と思っていたのだから凄いなと思ったりもします。

世の中を見る時に様々な視点をもつことの重要さは理解していたつもりですが、本書を読んでさらにそうした重要さを学んだ気がします。興味ある方は是非読んでみてください。

では、また!

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